

こんな方におすすめ
- プロダクトの開発や改善に携わる方
- プロダクトマネージャー・リサーチャー
- ビジネス戦略家
本記事の信頼性

この記事を書いている私は、
- 海外MBA進学・2度の転職経験をもとに自身が所属する香港の団体でキャリア相談を実施
- SNSを通じてES・履歴書・職歴書・志望動機書に関するキャリアサポートを実施(合計30名以上)
- 大学でキャリア構築に関する講義を実施
- ドイツ勤務、外資系メーカーへの転職を経て、現在は外資系コンサルティングファームでビジネスコンサルタント職に従事

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(本ページは一部プロモーションが含まれています)
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キャリアの観点では、今回ご紹介する仮説思考でのリサーチ力を自己分析と組み合わせた効果的なアプローチがこちらでご紹介されています。
強みが見つからないと悩む人が自己分析ではないリサーチ術で本当の強みを見つける方法本記事の要約

プロダクト開発における成功の鍵は、探索と検証のバランスです。
柔軟で深いドメイン理解が仮説の見定めに欠かせず、常にアップデートされる仮説はプロダクトリサーチの基本とも言えます。
本記事は以下書籍を参考に筆者の見解を加えて執筆しています。
「探索型」「検証型」とは

例えばドイツへの旅行を考えてみましょう。
行きたいレストランがあるから行ってみる、でも現地で歩きながらもっと素敵な場所を見つけることもあります。
結局、「行く場所を決めつつも、探索もする」というのは普通のことですね。
これはプロダクトリサーチにおいても同じことが言え、探索と検証は密接に関わっています。
例えば、ドイツの街を歩くこと。
これが「探索」です。
一方で、仮説があるとそれを検証する必要が出てきます。
ただ、仮説だけにこだわってしまうと、見逃している部分があるかもしれません。
探索しながら検証することで、新たな仮説も生まれるのです。
Takashi J. OZAKI, Ph.D.の記事でも述べられているように、探索しながら検証することで感動的な発見があるかもしれません。
ただし、仮説だけにこだわり過ぎると、見えてくるものが限られてしまうこともあるので要注意です。
リサーチにおける探索と検証
アイデアがあればそれを検証するし、アイデアがなければ探索してアイデアを見つけてから検証する。
実にシンプルながら重要な流れです。
しかし、アイデアとは一体何で、どうやって見つければいいのでしょうか?
例えば、特定の機能のアイデアが浮かんだとき、それが本当にアイデアなのか疑問に感じることも。
課題がなければアイデアとは言えません。
例えば、ユーザーペインが見つかったとしても、それがアイデアと言えるかは微妙なところです。
ユーザーセグメントとターゲットを見定め、課題も見つかっているとしても、それが本当にアイデアかどうかは議論の余地があります。
アイデアと検証と探索、これらはグラデーションのよう明確な閾値はなく実に難しいものです。
探索と検証は綺麗に分かれるものではない

仮説がある(から検証する)
仮説がない(から探索する)
というのは二元論的ではありません。
仮説が確かであり、根拠もあれば検証するのはスムーズでしょう。
しかし、仮説があるものの根拠が不透明な場合もあります。
具体的な論点を挙げると、以下のようなケースです。
- 仮説があるけれどもアクションへの懸念がある場合
- 仮説があるけれども確かでないかもしれない場合
- 仮説がないように見えても実は眠っている場合 等
つまり、どれも曖昧なところがあり、「仮説がある(から検証する)」「仮説がない(から探索する)」と二元論的にはならないのです。
全ての場合において曖昧な要素が絡んでいます。
「人は見たいものしか見えない」というのも一つの要素。
つまり、ある方向にこだわりすぎず、柔軟にアプローチすることが大切です。
仮説を作れる人とは

ここで問われるのは、「仮説を作れる人とは何か?」です。
これはその分野に詳しい人であることが前提となります。
例えば、特定事業ドメインに詳しい人は、その分野の課題や潜在的なアイデアを見つける能力が高まります。
プロダクト開発は究極的には「仮説構築と執行」とも言えます。
そして、仮説構築の要諦は「ドメイン理解」。
つまり、その分野に精通していることが不可欠なのです。
筆者もコンサルに入社して間もない頃、上司から仮説を持ってリサーチやアイディエーションを行うべし、と指導いただきました。
しかし当時プロジェクトで関わっていた領域に筆者は明るくありませんでした。
そこで、「仮説を作る上ではある程度情報をインプットする必要があるのでは」と思い、最低限のリサーチ時間を確保するよう上司に相談しました。
一定の情報をインプットした後であればいわゆる「筋の良い仮説」を立てることができ、結果的に業務の効率化に繋がったのです。
その道に完璧に精通していなくとも最低限同じ言語を用いてプロフェッショナルと会話できるレベルまで情報はインプットしておくべきだと筆者は考えます。
仮説立案と検証

ドメインに詳しいなら「探索 → インサイトを見つけ → 仮説を組み立て → それをFIX」が1時間で可能です。
ではドメインに詳しくない人の場合はどうでしょうか。
新規サービスやプロダクト開発の際にはユーザーインタビューを実施する機会が頻繁にあります。
ドメインに詳しくない場合でも、インタビューを通じて探索しながら仮説を見つけ、それを検証することが求められます。
1時間のインタビューで仮説を構築することができると、プロダクト開発において非常に有利です。
ただし、探索と検証を組み合わせることが重要です。
例えば、ECサイトでのリサーチを考えてみましょう。
ユーザーがECサイトを利用する際、いくつかの段階を踏むでしょう。
その中で仮説が生まれ、検証が始まります。
例えば、「決済フローに課題がある」という仮説があったとしましょう。
これを検証するためには、ユーザーの決済フローを詳細に調査する必要があります。
しかし、これだけでは足りません。
探索的な視点も必要です。
なぜなら、最初のリサーチで見逃してしまった問題が後から判明することがあるからです。
蓋を開けてみたら、「多くのユーザーが商品を選択するフローで課題を抱えていた」ことが分かるかもしれません。
ここで問われるのは、「なぜ最初のリサーチでその問題を見つけることができなかったのか?」。
それは、仮説以外を無視してしまったからかもしれません。
これは、探索を怠ってしまった結果とも言えるのではないでしょうか。
検証しつつ探索する
最終的には、「検証しつつ、探索する」がベストなアプローチです。
最初に調べておき、それからも調べ続けることが重要です。
特に、探索的なリサーチが効果を発揮する状況もあるため、柔軟なアプローチが求められます。
ECサイトの例でも、「探索 → インサイトを見つけ → 仮説を組み立て → それをFIX」が成功の鍵です。
初めに調べることで具体的な仮説が生まれ、その後もリサーチを続けることで新たなインサイトが得られます。
このようにして、仮説を進化させていくことが可能です。
結論

リサーチにおいては、探索と検証を組み合わせたアプローチが効果的です。
柔軟な発想と深いドメイン理解があれば、アイデアの発見から検証までのスピードが向上します。
最終的には、仮説の見定めは常にアップデートされ、リサーチプランにおいて最新の仮説を明示することが重要です。
事業開発・プロダクト開発においては、探索と検証の両方を取り入れ、常に変化する状況に適応することが成功の鍵と言えるでしょう。