社内の海外派遣に行くことを目指されていたMさん。
海外派遣に行くためには書類選考と面接を通過する必要があるとのことで、筆者のところに相談してきてくれました。
筆者は書類作成について主にご支援させていただいたのですが、今回Mさんが見事合格されました。
今回は合格までに取り組んだ内容を本人の承諾を得た上でご紹介したいと思います。
本記事の内容
- 社内選考合格までに準備したこと
- 書類(ES)作成時のポイント
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、
- 海外MBA進学・2度の転職経験をもとに自身が所属する香港の団体でキャリア相談を実施
- SNSを通じてES・履歴書・職歴書・志望動機書に関するキャリアサポートを実施(合計20名以上)
- ドイツ勤務、外資系メーカーへの転職を経て、現在は外資系コンサルティングファームでビジネスコンサルタント職に従事
(本ページは一部プロモーションが含まれています)
難易度
正確な応募者数は不明ですが、海外派遣に関する説明会の参加者は150名ほどいました。
実際の合格者はおよそ30名ですので、合格率は20%程と言えそうです。
合格率20%の難易度に関するイメージを持つために、同様の合格率とされる資格を日本資格取得支援のHPよりいくつかご紹介します。
- 税理士
- 通関士
- 保育士
手が届かないレベル感ではありませんが、高い専門知識が求められるためそれ相応の学習時間が求められる資格です。
資格と今回の社内選考を一律に比較することはできませんが、きちんと準備をして望むことが必須です。
実際の取り組み事項
社内選考通過に向け、次の順番で取り組みました。
取り組みステップ6つ
- ライフウェイクシートによる自己理解
- キャリア目標設定
- 企業が海外派遣生に求めることの理解
- 過去の経験者にヒヤリング
- 直属の上司視点での海外派遣生に対する期待値理解
- 書類への落とし込み
ライフウェイクシートによる自己理解
筆者に相談しにきていただいた当時のMさんは、ご自身の強みについて十分に自信を持てていない状況でした。
そのため、社会人になってから今までのキャリアについてライフウェイクシートを一緒に作ることにしました。
ライフウェイクとは人生の航跡を表す言葉です。
ライフウェイクシートを作成することで人生の浮き沈みを可視化することができます。
ライフウェイクシート作成に関する詳細はこちらをご参考ください。
作成後、筆者から以下のような質問を各ポイントに対して投げかけていきました。
- この時はどのようなことを考えていたのか
- ここではどのような取り組みが成功につながったと考えるか
- この時に感じたやりがいは何か
- この時周りからはどのような感謝をされたのか
Mさんはそれらの質問に回答していきます。
回答を考える中で内省が進み、「今まであたりまうと思っていたけどデータ分析が強みなのかも」、「自社製品を通じて人々に安心安全を提供できることにやりがいを感じている」、「チームリーダーとして周りを巻き込みながらプロジェクトを進める力が評価されてきた」などこれまでのキャリアを俯瞰して整理することができました。
ライフインチャートは一度作ると人生の奇跡を振り返ることができ面白いので、ぜひ作成をおすすめします
キャリア目標設定
その上で、人生として成し得たいこと、なりたい人物像について考えました。
はじめは、必ずしも企業と紐づかない内容でも良いです。
寧ろそのような枠はできるだけ取っ払って考えてみるほうがベターです。
Mさんは昔から周りの人に困りごとを相談されることが多く、それをきっかけに公認心理士に興味を持っていました。
公認心理士はMさんの現職とはほとんど関係ありませんが、何段階か深掘りをしていくと「人々の悩みに真摯に向き合い解決法を導き出したい」という強い思いが現職にも生きていることがわかりました。
この段階では直接的に企業に関連する粒度まで決める必要はなく、なんとなくイメージできる程度で良いです。
なぜなら、書類に落とし込む前に、企業側の期待値を理解し、それに関連するかたちで自身の強みやキャリア像をブレイクダウンしていくからです。
キャリア目標は仕事だけではなく私生活も包含します
このフェーズでは仕事・私生活を区別せずに大枠としてどんな人生にしたいかを考え、その後のフェーズで、仕事部分のみを切り取ったキャリア目標を設定していくのです。
企業が海外派遣生に求めることの理解
書類を作る上で「誰に対する書類なのか」を意識することは非常に重要です。
この場合は、企業です。
企業のIRやannual report、社長がメディアで発言している内容などから、「会社のビジョン」や「社員に対して求めるもの」、「企業としての課題感」などを理解しましょう。
さらに、今回は選考を行う「人事」が対象となります。
人事が発信する情報から海外派遣に関する情報を入手します。
筆者はたまたま、選考に関与する人事の方のお名前から、彼のインタビュー記事を発見しました
数年前の記事ではあったものの、その記事ではまさに海外派遣に関する期待値がありありと語られていました。
これらキー部門、キーパーソンが発信する情報から、海外派遣の位置付け・期待値を正しく捉えることが重要です。
単に海外で働きたいと言う主観での主張だけではなかなか選考通過は難しいので、企業が何を望んでいるのかを正確に理解しましょう。
過去の経験者にヒヤリング
過去実績がある場合は、これまで海外派遣に行ったことのある人にアプローチします。
これは自分が実際に海外派遣に行った際に何をするのか、どんな生活をするのかなどの解像度を上げることに大きく寄与します。
自分がありありと想像できないものを他人(今回は人事)に想像させようとしても難しいので、まずは自分が海外派遣後をクリアにイメージするように意識しましょう。
これは就活や転職でも同じことが言えます
業界分析や企業分析などでネットに落ちているような浅い情報で終わるのではなく、実際に志望企業のセミナーに参加したりその企業で働く人と話したりすることで、就職・転職後のイメージが湧き、選考時にもぐっと説得力が増します。
直属の上司視点での海外派遣生に対する期待値理解
企業や人事にアピールする上で、直属の上司を味方につけておくことは非常に優位に働きます。
企業のメッセージだけ理解しても、頭でっかちになり机上の空論になりかねません。
そこで、書類コンテンツにさらに具体性・手触り感を出すために、自分の上司が海外派遣に対して持っている期待値をヒヤリングします。
Mさんの場合、このヒヤリングを通じて「海外派遣について自身では思いつかないようなメリット」を理解できました
機密情報を含むため詳細はお伝えできませんが、Mさんは複数回、部課長とミーティングを重ねたことで、Mさんの所属する部門から海外派遣に行く意義を理解することができ他候補者との差別化を図ることに成功しました。
書類への落とし込み
これまでのインプットを書類に落とし込むフェーズです。
以下の点について、これまでのキャリア実績と収集・理解した企業内ステークホルダーの期待値を鑑みて構造的かつ具体的に記載します。
- 企業がMさんを海外派遣するメリット(海外派遣後の企業に対する貢献)
- Mさんにとって海外派遣がなぜ必要なのか(キャリア目標)
- 海外派遣で何を実行するのか・なぜそれをMさんが実行できると考えるのか(過去実績と海外派遣の紐付け)
このフェーズが一番タフで長いです。
書類作成時に意識すべき点についてこちらでまとめていますのでご参考ください。
筆者も何度もレビュー・添削をさせていただき、Mさんに添削後、都度上司の方のレビューを入れていただきました
その上で、上司の方のフィードバックをもとにコンテンツを更新する作業をご支援させていただきました。
フィードバックを受ける度、書類を更新する度に文章は洗練され、さらに頭の中の思考がシャープになってきます。
ここのフェーズでの頑張りが、書類通過のみならず面接通過にも繋がってきます。
結果
書類提出の段階では上司の方も「これで通らなかったら私(上司の方)のせいだ」とおっしゃるほど、品質高くまとめることができました。
修正→指摘→修正…を何度も繰り返してきたMさんの努力の賜物です。
実際筆者もご支援をさせていただく中で、Mさんの海外派遣に対する熱い思いが伝わってきました
無事、書類選考が通過。
書類作成の過程で、自己分析とマクロ・ミクロ視点での海外派遣に対する期待値を理解できていたこともあり、面接も無事に合格することができました。
合格の報告をいただいた時、筆者も心から喜んだことを鮮明に覚えています
まとめ:ESなどの書類は受け手側の視点を欠かさない
相手を知らずして自己主張をしても、なかなか相手には刺さりません。
採用企業が何を望んでいるのか。
なぜ、あなたを採用しないといけないのか。
好きな異性に告白するまでに、その人の趣味嗜好を理解するのと似ています。
書類作成の前に一度、企業側の視点で物事を考える思考法が大切です。
その上で必要なFacts(データやプレスリリースなど)を収集します。
これらがあって初めて、自分の実績や強みと擦り合わせていくことが可能となります。
全員が魅力的な人材。
ぜひその魅力を存分に発信しましょう。
書類作成に関してお困りの方はまずはメッセージからお気軽にお問い合わせください。