本記事の筆者

この記事を書いている私は、
- 海外MBA進学・2度の転職経験をもとに自身が所属する香港の団体でキャリア相談を実施(累計200名以上)
- コーチング・キャリアコンサルティングを専門とするAscent株式会社 代表取締役(コーチング歴:5年)
- 米国CTI認定プロコーチ(CPCC)/ Gallup認定ストレングスコーチ
- 国家検定 キャリアコンサルティング技能士2級/ 国家資格キャリアコンサルタント
戦略の大枠

上級コースが終わり、CPCC試験まで気が気ではなかった。
あまりCPCCを意識すぎると、Beingではなくhow toといった部分にフォーカスしてしまい、良いコーチングができなくなってくる。
そんな、なんとも言えない感情を持った方が一定数存在するのではないかと思い、私が上級コースを終わって一発でCPCCを合格するまでの約1.5ヶ月で何を実施したかこの場に置いてみたいと思う。
上級コース中は、部署異動や妻の妊娠などあり正直コーチングに100%注げていない日もあったが、それでも上級コース中の学びは自身の実力と精神を向上、安定させてくれる。
なので、勝ち筋として個人的におすすめなのは、上級コース修了からCPCC口頭試問まで間を空けないことだ。
もちろん、学びを深めることが大事なので、早ければ良いと良い話ではないのだが、体に染みついたCo-activeが酸化しないうちに、また自己流が入り混じらないうちにCPCCを受けた方がより自然に学んだことを試験の場にダイレクトに出せるのではないか、という一つの提案である。
そのためには100時間の有料コーチングを上級コース修了までの6ヶ月で終えておく必要がある。
ちなみに私は上級コース修了時点で113時間であった。
クライアントは10名で月に2回の各1時間セッションを実施した。クライアントの集客については別途記そうと思う。
CPCC合格において早さは本質ではないが、一方で軽視されるものでもないと思っているので、プロ資格を取得すると腹を括ったのであれば、上級コース修了時に100時間達成というところを目指しても良いのではないか。
前提はここまでにして、具体的に何をしたのかを記したい。
デモコーチングとの対話

まずは、デモコーチを聞きながら、自分だったらこうやって関わるかも、といったかたちで、ケーススタディを実施した。
もちろん「聞く」ことも重要だが、聞いているとどこかで意識が飛んだり、音が流れていってしまい、単に「聞いただけ」の自己満で終わり実力には大した影響もない事態に陥りがちなので、限られた時間で行うことは目的をきちんと見定めてそれに相応しい関わりや行動をすることを意識した。
夜お風呂に入りながら電気を消して、全集中でデモコーチングと対話した。
デモコーチのケーススタディと並行して、逐語録を作成した。
逐語録とは話の内容を文字起こしして、気づいたことを書き記すものである。
私の場合は、完全には腑に落ちていないデモコーチングを選抜して、言語/非言語問わず文字起こしをした。
その後に、コーチのどんな関わりがクライアントにどんなインパクトを与えたのかを考察した。
この仮説を立てることで、自分がコーチを行うときに「意図」をもってクライアントに関わることが可能となる。
AならばBといった単純なものでは全くなく、こんな在り方や心持を持ってクライアントに関わることで、コーチとしての幅が広がりひいてはクライアントの本質的変化につながると考える。
仲間とのスキルドリル

さらにデモコーチングでの学びを実力に変えるため、スキルドリルは欠かせない。
ただあまりにスキルドリルの予定を入れすぎると、「うまくコーチングをしよう」と思ってしまう気がしたので、基本週1回のみ入れることにした。
試験までに5回ほど参加した。
あとこれは賛否両論あると思うが、個人的には受験者同士で行うフィードバックはその正誤が曖昧ゆえ、時として試験においてはノイズになる可能性があると考えている。
なのでスキルドリルで量をこなすことはしなかった。
それよりも一つ一つの時間にfull betして学びを勝ち取る戦略で臨んだ。
ちなみに私は試験前日に行ったスキルドリルで精神が不安定になった。
それまで「たかさんならCPCCもきっと大丈夫!」というコメントをいただくこともあったのだが、その日に限って指摘が多かった。
それもそのはず。スキルドリルの直前に0歳の息子がうんちを漏らしてバタバタしていたからだ。言い訳にはならないが。
ただ、理由や正論は一旦置いておいて、この出来事は私のネジを狂わせたことに間違いない。
CPCC試験前日にいただいた指摘の対策を考えて、合格できるようにしたいというエゴが出てきてしまった。
CPCC有資格者もスキルドリルに参加したりしているが、受けた時期によって若干本番の雰囲気が違うみたいだし、そもそもCPCC取得後にそれぞれのコーチングスタイルを確立されていたりするので、試験の合格基準と照らし合わせたときにそれらのフィードバックが本当に確かなのかは正直わからない。(合格基準が表には公表されていないので、わからないのも当然と言えば当然)
基本、上記施策を実施していたが、試験が近づくと不思議と自分の内側にベクトルが向いた。
CTIでの学び振り返り

CTIでの学びの旅路を振り返った。
▼その時振り返った内容
CTIとの出会い、苦悩、乗り越えた経験、楽しかったことなど振り返った。
CPCC合格にあたっては、コーチとしてのBeingが極めて重要だと思うので、CTIに対する想いやコーチングをこんなに本気で学び実践しているのはなぜか、などについて振り返る良い機会である。
これを実施したことによって、Co-Activeがやっぱり好きだと心底味わうことができた。
未来を現実として扱う

あとこれは私が重要な挑戦をするときにいつも実施しているのだが、望む未来が来た世界で生きる自分でいる、ということ。
これまで大学院受験や転職、重要な資格試験のときにやってきたのだが、例えばある大学院に進学したいと望む場合、まだ受験前にも関わらず、その大学院を卒業した自分で毎日過ごす。
思考は現実化する、という言葉があるが、行動やマインドを変えることで本当にそのように現実がなる、というのを結構信じている。
今回のCPCCも自分にとっては大きな節目であったので、CPCC保有者としての思考や発言、行動(歩き方から日々の生活リズムまで)を意識し実行した。
▼例えば以下のように文字に起こしてみたり
今年の振り返り

こんなことをしていると、目線はCPCCだけではなく、自分の人生にも向いてくる。
口頭試験においては、いかに自分を信じることができるかも重要な要素。
自信のなさはコーチングに滲み出て、クライアントに伝わる。そうすると、自分が持っているものを出し切ることやクライアントに100%向き合うことが難しくなる。
そこで実施したのが、2025年の振り返りだ。
毎年12月末に実施しているのだが、今年はCPCCの受験日に合わせて12月前半に前倒しした。
横軸に月、縦軸にその次のハイライト写真、出来事、会社でのキャリア、コーチング回数、、などを並べてまずひたすら埋めていく。
すると「あ、これも今年だったのか!」とか「年の初めはこんなことやってたな」、「4月の自分から今の自分は想像できなかった」などいろんな感情が湧き出てくる。
私の場合は、2025年前半はまだ応用コースを受けていた。
今年のコーチング実施回数は187回であった。
体験セッションなども含むが、1回1時間として単純計算で187時間、およそ8日弱はコーチングしていることになる。
我ながら、本業のビジネスコンサルタントと並行してよくやったと思う。
夜の21時から会社のオフィスでオンラインコーチングを行い日付を超えてから帰宅した日は何日もあるし、土日は2、3件コーチングを実施するなどザラだった。
それくらいコーチングが自分の一部として当たり前になっていた。
これだけやってきた自分であれば、ありのままを出すことができれば試験も問題ないだろう、そんな微かな自信が湧き出てくる。
一見、CPCC試験に向けた対策とは別物のように感じるが、私はこれをやったことによって精神が安定した。
今からあれこれやらなくてもすでにここまで色々やってきた自分がいるなら、そんなに焦る必要はない。そんなふうに思えた。
心を整える散歩

とはいえ、当日朝起きると頭の中はCPCC試験のことでいっぱい。
暖かいうちに散歩に出かけた。
小さな森にも足を運び、自然のエネルギーを感じた。
普段あまり行かない神社にも赴き、ピンチの時にしか出向かない私をどれだけ神様は応援してくれるかわからないが、合格祈願をした。
神頼みとはまさにこのことである。
コーヒー片手に2時間くらい歩いたと思う。
正直な話、その間もでもコーチングを聞いて「自分ならここでこう関わる」という思考を巡らせていたためほとんどリフレッシュできていない。
最近は日本でも外国の方を見る機会が格段に増えた。
平日の昼間だったが、散歩の途中に多くの外国人とすれ違った。
気づくといつしか、私はCPCC保有者としてCTIやコーチングについて彼らに英語で説明することを妄想しながら、独り言を呟いていた。
なんだか心地が良い。
きっとこれは、即興感があったから心地が良かったんだと思う。
試験が近づくにつれて、引き出しが増えてくるので「この時はこう」「こんな問いが有効」みたいな感じで、考えてしまう瞬間がどうしてもある。
でもこれは全く本質ではないし、そのような思いが頭をよぎった瞬間に傾聴lev1となり、クライアントとともにいることができなくなったりする。
その時閃いた。
狂った発想

帰って、妻と英語でコーチングさせてもらおう。
これが私が実施した最後の施策、英語でコーチング。
いつもスキルドリルでやっているようなCo-activeコーチングを全て英語でやった。
試験3時間前の出来事である。
日本語よりも深さが出にくかったが、即興感が強まり、自分のBeingを思いっきり出せた。
結果、クライアントに本質的な変化が起こった。
終わってから感想を聞くと、日本語と遜色ない。むしろこれはこれであり、とのこと。
これは英語でなんというんだっけ?など全く考えずに思ったことを言葉や行動で表現することでインパクトを創出することができたのだ。
NCRWくん

基本的に私が実施したことは以上なのだが、最後に。
試験開始5分前まで0歳児の息子を抱っこしていた。
NCRW前回の彼はいつも私にそれが何かを教えてくれる。
パパが僕に接する時のように、目の前の人の可能性を信じてともにいることができればきっと大丈夫。
そんな声が聞こえた気がする。
<後日談>
▼試験直後の心境


